私のからだが教えてくれたこと

日々の気付きや暮らしの手仕事のこと

医者との相性、主治医の言葉

note記事(2021/6/15)より転載

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ドクターショッピングにより今までたくさんの医者と接してきた。

何か有効な治療法はないかと親身になってくれる医者も居れば、冷たい態度で面倒くさそうに病室から追い払うような医者も居た。

こちらは辛くて何とか助けて欲しくて必死なのに、その時はさすがに悔しかったし傷ついた。

心療内科について言えば、一度転院しているので、2人の主治医に診て貰ったわけだけど、全然違うタイプだった。

 

一人目は、いわゆる傾聴型の診察をする優しいベテラン先生。

じっくり話を聞いてくれて、薬も治療方法も患者の希望に沿った形で進めてくれる。

最初はそれで良かったけど、ちっとも良くならないし、いつも話を聞いてくれるだけなので、そのうち不満が募ってきた。

先生の方も、会社の産業医という立場もあってやりにくかったのだろう。

それで、「これ以上出せる薬は無い」と言われたのと、体がしんどくてそのクリニックに通うことが難しくなったので、転院することにした。

 

二人目は、私と年齢の近そうなハキハキと論理的に話をする先生。

この先生の診察を受けて良く分かったのは、私には傾聴型の医者じゃなくて、今自分の体がどういう状態で、それにはどういう対処方法があるか、それらの選択肢毎にメリット・デメリットをきちんと説明の上治療を進めてくれる医者が必要なんだということ。

今の主治医は説明がとても明快で、治療方針を分かりやすく論理的に示してくれる。

あれこれ悩んで思考の沼から抜け出せなくなってしまいがちな私は、彼のお陰で混乱した頭が整理されたことが何度もある。

どんな質問をしても嫌な顔一つせず丁寧に答えてくれるし、分からないことは分からないと正直に言ってくれるので、とても信頼している。

もちろん、優しく話を聞いてくれて患者の希望を一番に尊重して治療を進めてくれる一人目の先生も素晴らしいと思うし、二人目の今の先生も、投薬に対する考え方には賛成できない部分もあるし、どちらが絶対良いとは言えないけれど、私には後者の方が納得感を持って治療に取り組めるので合っているようだ。

特に精神医療は主治医との相性次第で回復状況も違ってくると聞くので、良いと思える先生とのご縁があったことには感謝したい。

が、今の主治医がいくら自分に合っていると思うとは言え、一向に良くならない状況を考えると残念ではある。

勿論、医者は病気を治してくれるのではなく、ただ治す手助けをしてくれるだけで、治すのは自分自身でしかないということはよく分かっている。

結局、本当の治癒に至るには、医者だけでなくいろんな人の助けを借りながら、自分自身で答えを見つけるしかないのだろう。

彼は時々心に響く良いことを言うので(失礼)、いくつかメモしてみる。

 

①「しなくて良い我慢はしなくて良いから」

→投薬以外の治療法で頑張るも良くならずに苦しんでいた時に言われた(彼は投薬治療を勧めるために言った)。

こんなにも苦しいのに何でこうも頑なに薬を拒むことに拘ってるんだろう?と、ハッとした。自分の視野が狭まっていることに気付き、ゴールに至る道のりは何だって良いんじゃないの?と、思い直す事ができ、少し心が軽くなった。

 

②「僕が思うに、人生の勝ち組・負け組っていうのは、いかに自分自身が納得感を持って人生の選択を積み重ねてきたかによると思う」

→確か、悩みに悩んで退職の決断をした時に言われた。

死ぬ間際に「あぁ良い人生だった」と思えるような、後悔の無い幸せな人生を歩むためには、自分の心に嘘をつかずに、都度都度、納得のいく選択をしていくことが大切だよね、と激しく頷いた。

 

③「まだいろいろとやれることはあるから」

→投薬は勿論、いろんな治療法を試してきてそれでも良くならないことに落ち込んでいた時に言われた言葉(先生は、試す価値のある薬はまだたくさんあるという意味で言った)。

いろんな治療法をやってきたといっても、まだ私の知らない、気付いていない方法があるかもしれないし、人生生きていれば何があるか本当に分からない。だからまだ希望を捨てちゃいけない、と思えた。

 

彼が時々提供してくれるこんな言葉達は、時に彼の意図を超えて気付きを与えてくれ、薬とは違う方法で私を助けてくれている。