私のからだが教えてくれたこと

日々の気付きや暮らしの手仕事のこと

うわっぱりを作ってみた

ちょっと前に、母が新しい割烹着が欲しいと言うので作ったのだけど、色が白っぽかったので「汚れが目立つ」とクレーム?が出た。

で、押し入れの整理をしている時に、お祖父ちゃんの遺品であるカビ臭くなった生地が(お祖父ちゃんはテーラーだった)、赤と紺のタータンチェックで汚れても目立たないし、厚みも程よかったので水屋着にちょうど良いやん!ってことになった。
ただ、割烹着だと微妙に用尺が足りなかったので(割烹着は意外と布が要る…)、代わりにうわっぱりを作ってみた。
背中が暖かいし冬にぴったり。

 

参考にしたのはこちらの本。

www.artbooks-shikosha.com

 

他の和裁本と比べてかなり値段の張るものだけど、本当に情報量が多くて、読んでみるとそれだけの価値の有るものだなと思った。
随所に仕立てのポイントや和裁・着物の知識がちりばめられていて、著者の「本物の和裁を後世に伝えていきたい」という情熱が伝わってくる。


と言いながら、私が必要な部分は少ししかないので、図書館で借りてきましたm(_ _)m

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丈夫さ優先で一部ミシン縫い。

出来上がって母に羽織ってもらったら、なんか居酒屋の店員みたいになってた(汗)
振りも無いデザインなので、正直甚平との違いがよく分からない。

衿肩空きを丸く切り取っているので、衿付けも楽に綺麗に出来た。
今まで浴衣や単を何枚か縫ったけど、なかなか綺麗に衿付けが出来なくて何度も縫い直しをしていた。
でも、これで何となく衿付けのコツが分かった気がする。
ただ、著者の先生は「着物の時は真似しないで下さいね(繰り回ししないものに限ってOK)」と念押しされていた。
そりゃそうですね。
着物って、無駄を省いて長く着られるようにと本当に良く工夫されている。環境への配慮とデザイン性を備えた素晴らしい衣服だと改めて思う。(もちろん、生地の生産工程にもこだわれば更に素晴らしい)
着物ってどの年代でも絶対に似合うし、お洒落が難しい中途半端な年齢の時には、着物で過ごすのも良いかもしれない。デザインを選ぶ必要は有るかもしれないけれど、基本的に普段着は自由で良いし。
で、手が上がらなくなってきたり腰が曲がってきたら、機能的な洋服に戻すと。
どうだろうか。

飾り紐の付け方も本の通りにしたけど、上前のポチも内側じゃなくて外側に付けた方が見た目が良い気がするなぁ。
世の中には色んな付け方の物が出回っていて、正解は分からない。

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付け紐の位置を決めるために一度羽織って貰ったのだけど、その時ふっと子供の頃を思い出して懐かしくなった。
昔は母親がよく服を縫ったり編んだりしてくれたので、サイズ調整の時にはこうやって試着していた。
今、同じことを逆の立場でしている。
想像してなかったな。
自分の子供に作ってあげるかもしれないとは思っていたけれど。

これから、もっとそういうことが増えていくのかもしれない。
普段の生活で手を差しのべることが少しづつ増えてきて、その度にまたこうやって幼い頃の事を思い出すのだろうか。

ともあれ、大切な人のために何かを作れるということは、嬉しいことだ。

出来上がったうわっぱりは切りよく年明けから着てくれている。

お祖父ちゃんも、やっと余り生地が活用されたことだし、喜んでくれてると良いな。